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Salida生明慶二インタビュー


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大野雄二・犬神家の一族




―――ダルシマーが使用されている曲というと個人的に映画『犬神家の一族』(1976年 東宝/監督:市川崑 音楽:大野雄二)のテーマ曲《愛のバラード》が思い浮かびます。


 ジャズピアニストの佐藤允彦、ありゃあ良いピアノ弾きだけど、よく映画音楽の録音に来てたんですよ。その佐藤允彦のエキストラでたまにピアノ弾いてたのが大野雄二。もうその頃から知ってるわけです。

 ある時、大野雄二から「こんど角川がかなり力を入れてつくる映画の音楽をやることになったから、なんとか成功させたい」って相談があったんですよ。イメージとしては山奥の豪族のような一族の話だもんだから、そういう土の匂いを感じさせたいと。

 作曲家のモーリス・ジャールが映画『ドクトル・ジバゴ』(1965年 監督:デヴィッド・リーン)の音楽を作曲してアカデミー賞をもらってるんだけど、曲の中にダルシマーを使ってるわけですよ。一番古いかたちのダルシマーですね。それによって、ひとつ次元の違った神秘的な音がする。それでいて何か泥臭い感じも持ってる。簡単にいえば神秘的な匂いと民族的な匂いの両方があるわけですよね。その効果が『ドクトル・ジバゴ』で非常に成功してる。

 だから大野雄二に「ダルシマー面白いよ」ってことを言ったわけです。
 今改めて聴いてみてもそれはうまくいってるんじゃないかと思いますね。曲自体とても良い曲だし。






「生明慶二 インタビュー」

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