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日本打弦楽器協会
―――生明先生は日本打弦楽器協会の会長も務められていますね。
もう今となっては日本にダルシマー奏者は何人もいるわけですから、いつまでもダルシマーを「特殊楽器」として考えないでね、ダルシマーにたいする認識を一般の楽器と同じ水準まで上げていかないと日本の文化っていうのは発展途上国と同じだと僕なんかは思うんですよ。それで普及させようと思ってやってるのが日本打弦楽器協会ですね。
打弦楽器協会に限らず協会とか組織っていうのは、一番上に会長がいてね、その次に理事会があってというピラミッド型の昔からあるような運営の仕方は、僕はあんまりよくないなぁって思ってるんですよ。
こういう組織が「音楽会をやりましょう」ってなった時、実際は会員たちが何万円か自腹を切って切符を引き受けて泣きながらやってるわけですよ。それで売れない切符が出てくると、しょうがないから人にやっちゃうわけだけど、あげた人っていうのは絶対に来ないんです。自分で行きたいと思って切符を手に入れたわけじゃないから絶対に来ないですね。そうするともう無駄にお金を捨ててるわけですよ。そういう会の運営の仕方っていうのは少なくとも近代的じゃないなぁと思って。
だから、むしろピラミッドの逆でね、上にいっぱい人がいて、最後の下の方に理事会があって会長がいて、ダルシマーならダルシマーだけで固まってやってるだけじゃなくて、ジャンルを問わずいろんな楽器とセッションする。そうじゃないと結局お家芸になっちゃうんですよ。
たとえばいろんな民族楽器と一緒にいろんなことをやって、それによって楽器が知られるようになって音楽会やってもお客さんが来る、というようにした方が僕は良いと思ってるんですよね。
バロックヴァイオリンとやったり ギターでもいろんなギターとやったり、いろいろセッションしながら音楽の楽しさがわかっていって、それで根性ができてきてプロの中に入っていくという。あくまでプロになってもらいたいですよねぇ。そういう他の楽器の演奏家とつなげる橋渡しはいくらでもするから、むしろそれに耐えられるだけの実力をつけてもらいたいわけです。
もっと特殊な社会じゃなくて日常の生活の中で受け入れられるようになって、はじめて充実するだろうと思うんで、だから自分も“会長”とかいってあんまり外には出ていかない。
まぁ、そんなつもりでやってますのでよろしくお願いします(笑)。
Salida 出口寛泰
校正済インタビュー原稿と共にお送りくださった御手紙
「生明慶二 インタビュー」
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