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生明慶二 インタビュー


(5)

小杉太一郎・山内正




 ―――小杉太一郎さんはどういうお人柄でしたか。


 小杉さんは素ッ晴らしい人ですよ。人格者ですよね、あの人は。もう本当に非の打ち所がない。

 だから小杉さんが病気になった時、松村禎三さんは本当に心配してましたよね。「とにかくいい医者を探すんだ!」って、もう一生懸命でしたよ。

 それで小杉さんは一度手術をして退院したんだけど、しばらくしたら「ボウリングに行こう」って言うわけですよ。「どうしてもパーフェクトを出したい」って。そしたらそれを聞いた松村さんが

「生明さんね、あれは自分がいつまで投げられるのか限界を試すためにボウリングやってるんですよ。本当に痛々しくてたまらない」

 って言うんだよね。あぁ、松村さんはいい人だなぁと思いましたね。



―――小杉太一郎さんの音楽はどうお感じになりましたか。


 小杉さんの曲っていうのは、譜面見てもわかりやすくてスッキリしてます。ちゃんと理にかなったもので演奏するにしても難しくないんですよ。それで池野さんほどのクセは無いし(笑)。

 でもなんて言うんだろう、演奏してみると小杉さんの音楽っていうのは音がモヤッとしてんですよ。これは悪い意味じゃなくてね。下の方にモヤモヤッとした音があるんです。でも音楽自体は非常にハッキリしたものなんですよ。うまく言えないけど、小杉さんの音楽の特徴っていうとそういう印象がありますね。

 あと、やっぱり「この人は、何でも書けるなぁ」と思いましたよね。
 つまり、他の作曲家だと例えばヤクザ映画の音楽だったらいいんだけど、メロドラマになるとどうしようもないとか、作曲家にも「向き不向き」があるんですよ。でも小杉さんはどんなジャンルの映画でもちゃんと書けちゃう人だから。

 いわゆる伊福部門下の面白さってのは、伊福部さんに誰も似てないんだよね。これが良いんですよ。
 だけどね、「似たもの書け」って言われたら書けるんですよ(笑)。だから、時代劇とか映画によっては伊福部先生のような音が出るように書いて来るんですよね。やっぱりそれだけの技量がある。でも自分のものとなったら、もう全ッ然違う音を書きますから。それはやっぱり素晴らしいことですねぇ。



―――小杉太一郎さんの義理のお兄さんが作曲家の山内正さんですね。


 『ザ・ガードマン』なんか最初から録音に参加してますよ。

 山内さんはねぇ、もう冗談が通じないぐらいクソまじめ(笑)。
 劇伴音楽をレコーディングしてる最中に「これで大丈夫なんだろうか?」って悩んじゃうもんだから、周りが「大丈夫だから、大丈夫だから」って説得しながら録音するんですよ。

 出口さんも「山内正の純音楽」っていうCDをつくったけど、やっぱりあの人は“純音楽”って感じですねぇ。それでも劇伴も良い曲たくさん書いてますよね。






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