作曲家 池野成先生が所蔵されていた御自身の作品の録音を世に出すべく、音源を譲り受け、収録楽曲・構成について打ち合せを行ったその数ヶ月後、池野先生はこの世を後にされました。
爾来、今回のかたちにまとめるまで13年の歳月を要することとなったのは私の力不足というより他ありません。ただ、その間に《RAPSODIA CONCERTANTE》の改訂版初演、NHKサービスセンターおよび東京藝術大学で池野作品のマスター音源が確認されるなど嬉しい出来事もありました。
本CDのDISC1&2は、これらの音源を池野先生の御意向を最大限に尊重し選定・構成。結果的に打楽器・トロンボーン界で広く知られている《EVOCATION》にはじまり《EVOCATION》に終わるかたちとなりました。
これに加え、作曲家 池野成の魅力を解き明かすべく、音楽評論家 片山杜秀氏による「池野成の想像力(イマジネーション)−楽器編成を中心に−」(総収録時間:78分26秒!)をDISC3に収録しました。
本企画には40年前の音源も含まれ、制作にあたっては演奏に参加された音楽家皆様の連絡先・消息を突き止める必要がありました。そのため、一人の音楽家に連絡を取るごとに関係者の皆様から様々なかたちで御尽力賜ることとなり、今ここに限られた紙面で御一人御一人の御名前を記載できないのが甚だ心苦しいものの、この場を借りて深く深く感謝を申し上げます。
そしてなにより収録作品の演奏に携わられ、CD化を御承諾くださいました音楽家の皆様に心より御礼申し上げる次第です。
―――池野先生と打ち合わせしたCDが完成しましたよ!
そう叫びたい気持ちにおそわれます。