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小杉さんと父





 小杉太一郎さんのことを思い出すと、父に連れられご自宅に何度かお邪魔させていただいた記憶が蘇る。

 記憶を辿ると、玄関へ向かって階段を上がると大きな犬小屋があり、確かその奥に御祖父宅があったように思う。 父とご挨拶に伺うと、ステテコ姿の御祖父がいらして、「やあ、いらっしゃい」と笑顔で私達を迎えてくださった。テーブルの上に絵筆がたくさん入っていたのも憶えている。椅子には御祖母も座られていて、同じように迎えてくださった。

 私が4~5歳くらいであったと思うが、ご長男の隆一郎さん、妹さんたちに遊んでいただいた。
 その間、小杉さんと父は仕事の打ち合わせや、様々な話をしていたのであろう。

 小杉さんと父が初めに何処で出会ったかについては聞いていないが、父の人生にとって非常に大きな影響を与えてくださった方であることは言うまでも無い。

 よく父が言っていた。「あんな寛大な心を持った人は居ないよ」「小杉さんはね、とことんやる人なんだよ」「私は小杉さんの弟子だからね」と。
 この言葉は、息子である私に対して「何事も一生懸命やるんだぞ」と言うことを伝えたかったのだろう。

 映画音楽や、TV番組の音楽を制作していた時であると思うが、父は小杉さんから惜しげもなくどんどんチャンスを与えていただいたそうである。
 それ故、父も音楽や仕事に没頭できたのだと思う。

 ご自宅にお邪魔した時に隆一郎さんからお聞きした話であるが、父が初めて受けた仕事を完成し、感激のあまりどこかのお菓子屋さんでケーキを100個買ってご挨拶に伺ったと聞いた。(詳細は CD「小杉太一郎の純音楽」ブックレットをご覧ください)
 私が、「父ならそれは有りうる」と言うと笑いが起きた。


 そんな父も旅立って数年経った。あちらで尊敬する師匠小杉さんや、友人の皆様方と楽しく音楽をしていると思う。


 この度、このような機会を与えてくださった出口さん、隆一郎さんに心より感謝申し上げます。



宇都宮 安重・長男
宇都宮 誠





宇都宮 誠 氏 略歴

宇都宮 安重 氏 略歴

CD「小杉太一郎の純音楽」

作曲家 小杉太一郎 研究活動

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