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CD「小杉太一郎の純音楽」制作について



 「池野成の映画音楽」「カンタータ 大いなる故郷石巻」に続く、Salida制作CDは「小杉太一郎の純音楽」です。

 そもそも、リアルタイムで小杉太一郎氏の劇伴等の音楽に接したことのなかった私に、折に触れ小杉氏のことを話して下さったのは池野 成先生でした。

 池野先生は亡くなられる数ヶ月前、
「小杉さんに会えると思えば、死ぬのも怖くはない」
とおっしゃっていました。

作曲家 池野成 小杉太一郎
池野 成         小杉太一郎


 その後、小杉氏に興味を持った私は、2007年小杉氏の御長男 隆一郎さんに御連絡を差し上げ、お目にかかることとなります。

 小杉氏はその膨大な担当作品数から、これまでどうしても劇伴音楽の仕事ばかりが広く知られてきました。これに対して、純音楽作品は劇伴の仕事を始める前の、一時期に書かれたものが殆どであり、一部の作品を除いては初演以来まったく演奏されていません。

 お目にかかる前日、隆一郎さんに純音楽作品の楽譜の所在についてご確認したところ、
「以前『六つの管楽器の為のコンチェルト』演奏希望の申し出があり、その時も散々探したが楽譜は結局出てこなかった。ここまで出てこないということは、葬儀の時に楽譜を棺に納めた可能性が高い」
とのことでした。

 ところが、隆一郎さんにお目にかかった途端、小杉氏の奥様の遺品と共に仕舞い込まれていた別頁記載の楽譜が発見されたのです。
 その中には、第21回毎日音楽コンクール作曲部門第2部(室内楽)第1位入賞作品でありながら、これまで内容が全く不明だった「六つの管楽器の為のコンチェルト」も含まれていました。


「六つの管楽器の為のコンチェルト」楽譜
発見された「六つの管楽器の為のコンチェルト」楽譜



 そして、その後の小杉氏の調査においても、先の「カンタータ 大いなる故郷石巻」サブマスターテープの発見など、ある種、薄気味わるいぐらいの偶然が重なります。
 1968年10月石巻市民会館に於ける小杉氏自身の指揮により初演された舞踊組曲「戰國時代」収録テープもそのような中で発見されました。


舞踊組曲「戰國時代」収録テープ
発見された舞踊組曲「戰國時代」収録テープ



 これらの作品を演奏・録音することによって、劇伴作曲以外の純粋な作曲家としての小杉氏の全貌を明らかにしたい。その思いが楽譜発見時より私の中で日増しに強くなり、CD「小杉太一郎の純音楽」制作の決意を固めるに至りました。

 レコーディングにあたっては、レコーディング エンジニアの半田和彦様、そして、今回のレコーディングに、最も相応しいと考えられる演奏家の皆様の御尽力を賜りました。
 また、校訂・監修は、かつて音楽業界の職に就かれており、最も作曲家 小杉太一郎の音楽を知り尽くしておられる隆一郎さんに特にお願いを致しました。

 そして、この度、楽譜発見より5年の歳月をかけ、収録曲全てのレコーディングが完了しました。

 CD発売に向け、当サイトでは各収録作品の詳細、レコーディングの様子などを順次お知らせして参ります。





CD「小杉太一郎の純音楽」 企画/制作/プロデュース
出口 寛泰




CD「小杉太一郎の純音楽」


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