石巻市民交響楽団 団長
足立 岳志
2012年9月24日、「カンタータ 大いなる故郷石巻」初演をCD化された方として、NHK「ラジオ深夜便」の取材で石巻にいらっしゃった際に面識を得ておりました、出口寛泰氏よりお電話を頂きました。
内容はCDの売り上げの一部を石巻市民交響楽団に義援金として送りたいというものでした。当団は「大いなる故郷石巻」の作詩者である石島恒夫氏が、この作品を是非とも市民のオケで演奏したいという思いから、創立された団体です。石島さんの思いがまだつながっていることを感じざるを得ませんでした。
その後、出口氏の御研究によって楽譜が発見された、小杉太一郎先生の数少ない演奏会用作品「交響楽」についてのお話をお聞きしました。この作品には小杉先生が他に無いくらい力を注いでいることを熱く語られ、こういう作品があるということを是非記憶に留めておいて欲しいとさらに熱く語られました。
小杉先生の「大いなる故郷石巻」は演奏の度に大きな感動を得ておりましたし、先に述べた経緯で創立された団体ですので、こちらからも機会があれば是非演奏させて頂きたいとお願いしました。
演奏が実現すれば「本邦初演」とのことで、当団の定期演奏会として取り上げるよりも、もっとふさわしい場が望ましいと感じましたが、ちょうど現在、来年6月に「大いなる故郷石巻」を再演するため準備中であり、「大いなる故郷石巻」の前の第一部の演目について、まだ決定的なものがありませんでした。そこで、「大いなる故郷石巻」公演で演奏することを提案したいと申し上げました。
幸い、翌日の9月25日に最後の準備会があり、そこで正式に提案することにしました。まず、準備委員の山田正明氏に連絡をとり、出口氏からのお話と「大いなる故郷石巻」公演での「交響楽」の演奏について提案したい旨を伝えました。山田氏に了解いただき、準備会で提案いたしました。
そして、準備委員の皆様より「交響楽」演奏の快諾をいただくことができました。
その後、9月30日の実行委員会の設立総会があり、その場で「大いなる故郷石巻」公演の第一部として、「交響楽」を演奏することが公表されました。「交響楽」の本邦初演の実現へ向けての第一歩が踏み出されました。
出口氏からお電話をいただいてから、1週間ほどの出来事でした。
「交響楽」本邦初演のお話をいただきましたことに感謝申し上げますとともに、「Salida」のますますのご発展を祈念申し上げます。
東日本大震災復興祈念事業 カンタータ 大いなる故郷石巻 公演