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『九尾の狐と飛丸』2016年7月24日(日)・25日(月)上映。


『九尾の狐と飛丸』ポスター 短篇映画研究会チラシ


 幻の長編動画『九尾の狐と飛丸』(1968年 日本動画 監督:八木晋一 音楽:池野成)が、短篇映画研究会「リクエスト特集C」にて2016年7月24日(日)・25日(月)に上映されます。
(通常は短編映画を上映されている研究会ですが、特別に長編動画を取り上げられます)

 元・大映プロデューサー 中島源太郎が設立した「日本動画」製作の長編動画『九尾の狐と飛丸』。
 当時、キャラクターに塗る色は通常30色〜50色のところ、『九尾の狐と飛丸』では150色〜170色も使用するなど、「日本動画」に結集した東映動画、虫プロ、岩波映画出身者達の仕事により、極めて魅力的な映像が作り上げられています。

 本作を映画化するため大映を退社した中島氏のこだわりはすさまじいもので、キャラクターデザインを当初、動画業界の大御所に依頼するも気に入らず、次に漫画家 さいとう・たかをに依頼。しかし、これも気に入らず不採用となり、作画監督の杉山卓がキャラクターデザインも行うこととなります。

 音楽も最初、その次と2人の作曲家に依頼するも気に入らず、最終的に作曲家 池野成に決定。

 また、「構成」という名目で大映時代に中島氏とコンビを組んだ映画監督 増村保造、そして鈴木英夫がアドバイザーとして参加。本作の実質的な監督業務は鈴木英夫が務めていたとのことです。

 しかし、配給をあてにしていた大映の経営状態が火の車に陥ったことなどが重なり興行は惨敗。
 早々にテレビに放映権を売却した後、中島氏は映画製作から身を引き、政治家に転身(1987〜88年、竹下登内閣において第109代文部大臣を務める)しました。

 現在、『九尾の狐と飛丸』のネガは、中島家が保管しているとされるものの詳細は不明の状態であり、奇跡的にライブラリーに保管されいていたフィルムが上映される機会でなければ観ることができないという幻の作品となってしまいました。

 幻の作品『九尾の狐と飛丸』、そして作曲家 池野成、唯一のアニメーション作品への仕事が確認できる貴重な機会をどうぞお見逃しなく。

出典:「日本映画の玉(ギョク)」木全公彦
『九尾の狐と飛丸』をめぐって[前篇]・[後篇]


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


『九尾の狐と飛丸』リクエスト上映記念インタビュー


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


作曲家 池野成 研究活動





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