発見された「弦楽三重奏の為の二つのレジェンド」楽譜は校訂者 小杉隆一郎氏により、音の書き間違い、抜けの箇所など数十カ所が確認・修正されたが、最大の問題となったのが、Seconda
Leggendaの11小節目にはAllegro(M.M.♩=circa 120)の指定があるものの、そこに至る冒頭のテンポ指定がまったく書き込まれていないということであった。
冒頭のテンポ指定がまったく書き込まれていないSeconda Leggenda
Allegro(M.M.♩=circa 120)の指定があるSeconda Leggenda11小節目
この冒頭のテンポを如何するかで隆一郎氏が思案に暮れていることを受け、Salidaではこれを打開すべく、学生時代から小杉宅に出入りし小杉太一郎氏との交流が深かった作曲家
永冨正之氏に御意見をお伺いするため、永冨氏と隆一郎氏との打ち合わせを企画した。
小杉隆一郎氏 永冨正之氏
打ち合わせの中で永冨氏は、Seconda Leggendaの書き出しのメロディーが、テンポ指定後に再現されているメロディーの半分の音価で書かれていることを指摘され、このことから、冒頭の部分をAllegro以降スムーズに気持ち良くつなげるには、テンポはAllegro(M.M.♩=circa 120)の半分の♩=60ぐらい、もしくはそれよりもゆっくりしたテンポで始めなければ、Allegroの前に書かれたフェルマータも活きてこず、Allegroの部分からスピードが出るということも生れないため、したがって冒頭のテンポは(M.M.♩=circa 60)とすべきとの見解を出された。
そして隆一郎氏も永冨氏の見解とまさに同じ考えであったことから、冒頭のテンポはM.M.♩=circa 60とし、校訂・レコーディングが行なわれることとなった。
冒頭のテンポをM.M.♩=circa 60として再生した
MIDI音源を確認した上で、打ち合わせは結論に至った。
■ 弦楽三重奏の為の二つのレジェンドについて
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レコーディング実現までの道のり
【演奏者編】
■「二つのレジェンド」レコーディング風景
■「二つのレジェンド」レコーディングを終えて
CD「小杉太一郎の純音楽」収録曲
「弦楽三重奏の為の二つのレジェンド」