本文へスキップ


 



Salida CD 第5弾「山内正の純音楽 WORKA OF TADASHI YAMANOUCHI」



「作曲五人会」について



 作曲家 山内正は、1964年から「作曲五人会」に参加し定期的に室内楽作品を発表しました。

 「作曲五人会」とは、第2回 TBS賞「日本を素材とする管弦楽曲」作曲募集の入賞・入選者である山内正、土肥泰、山本繁司、福島雄次郎、住友淳治の各氏から成る「作曲家グループ」であり、第1回作品発表演奏会プログラムには「作曲五人会」結成の経緯が次のように記されています。


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


私たち同人は「第2回TBS賞作曲募集」を契機に知り合いました。以来現在まで定期的に会合を持ち、それぞれ啓蒙し合って参りました。その間、お互いの人間的なつながりも深まり、その発展的結果として「グループ」を作り定期的な作品の演奏会を持とう、ということに至りました。私たちは、それぞれ能動的である音楽家としての場に立って創作し、真の日本人の遺産を残して行くべく努力するつもりであります。


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】

 なお、1967年からは住友淳治氏にかわって第4回TBS賞作曲募集〈特賞〉受賞者 田村徹氏がメンバーに加わり活動が続けられました。


山内 正  土肥 泰  山本繁司

福島雄次郎  住友淳治   田村 徹



第2回「作曲五人展」プログラム表紙 第5回「作曲五人展」プログラム表紙
「作曲五人展」第2回(写真左)第5回(写真右)プログラム表紙



 「作曲五人会」の作品発表演奏会は「作曲五人展」と銘打たれ1964年の第1回を皮切りに1976年の第8回まで開催されました。

 第1回「作曲五人展」は、東京放送(現TBS)の後援により行われ、プログラムには“「作曲五人会」の門出に寄せて”として「第2回TBS賞作曲募集」の審査・演奏に携わった信時潔、松平頼則、上田仁の三氏が寄稿しています。 

【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


信時 潔

 作曲は本来個人的な仕事であるが、共通の目標を持つ人達の同志的結合が大きなプラスとなって、音楽の進展に寄与した例は少なくない。今度「作曲五人会」として結ばれた五人の方々は、いずれも東京放送連年の公募課題「日本を素材とする管弦楽曲」に応じて既に水準以上の技倆を示された人々であり、今後もこのコンクールへの応募如何を問わず、各自の道によって私達の宿題とも言うべき新しい日本の音楽の建設達成に邁進されることを信じてその門出を喜び、みのり多き前途を祈ります。

※ 本稿の掲載にあたっては信時潔氏御遺族、信時茂様、信時裕子様の多大なる御尽力を賜りました。心より御礼申し上げます。作曲家 信時潔の研究情報については信時裕子様運営サイト「信時潔研究ガイド」をご覧ください。



松平頼則

人々がグループを形成する場合、或種の共通理念か利害関係を基調とするのが普通だ。だから大概は友人同志か、同一の師弟関係の人々が結集する。いわば一種の人生の縁のようなものだ。ところで今度、山本繁司、住友淳治、福島雄次郎、山内正、土肥泰の諸君が作曲のグループ活動を始めるが、そのグループ形成は今迄のそれとその生成過程が少しばかりちがっている。それは東京放送が企画した作曲のコンクールが縁となっていることだ。彼等は全部第2回コンクールの最終予選通過者で、このコンクールの「日本を素材とする管弦楽曲」を作曲するという共通理念の場に偶然同時に居合せ、その共感が彼等同志を結びつけたわけだ。コンクールの企画から全く副次的に派生したこのグループの今後の成長ぶりを、当時の審査員の一人だった私は興味をもって見守りたい。


上田 仁

 この度「作曲五人展」が開催される事になり誠に喜ばしいことと思います。作曲家が自力で発表会を持つというのは相当困難な問題が沢山あるものですが、とにかく五人の方々の力強いつながりがあっての事だと思います。最近日本人演奏家が海外で活躍する機会がふえており、日本人の作品も紹介されておりますが、まだまだ作品の数が少ない現在ですのでその意味でもこの会の発展を願って居ります。五人の方々は新進とはいえ作曲経験も豊富で日本作曲界の為に大きい待をよせております。


(出典:第1回「作曲五人展」プログラム)



【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】

 また、「作曲五人会」の活動は演奏会だけに止まらず、メンバーの書き下ろし作品により構成される『現代日本の作曲家によるこどものためのピアノアルバム―6』が全音楽譜出版社より刊行されました(現在は絶版)。

『現代日本の作曲家によるこどものためのピアノアルバム6』

山内正はこの出版のために《ピアノ小組曲》を作曲。

山内正《ピアノ小組曲》




「作曲五人展」発表作品


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第1回1964年12月4日東京文化会館 小ホール山本繁司《ヴァイオリン・ソナタ》山内正《弦楽四重奏曲》住友淳治《ラハスヤ:秘儀》土肥泰《ヴィオラ・ソナタ》福島雄次郎 《方言詩集 第二集 ― 子供たち ― 》《北見の海岸》山本繁司《六楽器のための協奏風組曲》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第2回1965年12月20日東京文化会館 小ホール住友淳治《弦楽四重奏曲 第2番》山本繁司《ピアノ・ソナタ 第2番》福島雄次郎 《邦楽器のための三章》山内正《弦楽四重奏曲 第2番》土肥泰《祭文―第1部―》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第3回1966年11月10日東京文化会館 小ホール福島雄次郎 《ヴァイオリン小曲集》より1.瞑想曲2.詩曲「道」住友淳治《弦楽三重奏とピアノの為の「ヴィヤーカラナ」》土肥泰《弦楽四重奏曲―トリフォルメ》山本繁司《弦楽四重奏曲》山内正《前奏曲集》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第4回1968年5月1日東京文化会館 小ホール福島雄次郎《方言詩集 第三集 「柿提燈」》山内正《ピアノ・ソナタ》山本繁司《弦楽のためのシンフォニア》田村徹《東洲斎写楽》土肥泰《祭文―第2部―》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第5回1970年2月3日イイノホール田村徹《三つの筑後方言歌》《ピアノの為の「小協奏曲」》山本繁司《ピアノ・ソナタ 第3番》福島雄次郎 《歌曲集“機関車・花”》上田幸法詩集より山内正《ヴァイオリン・ソナタ》土肥泰《宮沢章二による五つの詩》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第6回1971年11月6日東京文化会館 小ホール田村徹《当世わらべうた》山内正《ピアノ組曲》山本繁司《ヴァイオリン小協奏曲》福島雄次郎 啄木のうたより《くらしの想い》歌曲集《さがみのうた》より田村徹《テューバの為の四重奏曲》土肥泰《宮沢章二による三つの詩》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第7回1973年5月28日東京文化会館小ホール山内正《ピアノ・ソナタ》(改訂版)山本繁司《2人のソリストのための音楽'73》福島雄次郎 《奄美民謡の主題による変奏曲》田村徹《ピアノ・ソナタ》山内正《チェロ・ソナタ》(この回では土肥泰 作品の発表は無し)


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


第8回1976年5月27日第一生命ホール田村徹《ラプソディー》山本繁司《弦楽四重奏曲 第2番》福島雄次郎 《“Rhapsody” for piano》《古き日本の歌》より山内正《ピアノ・ソナタ 第2番》歌曲集《黒髪》和泉式部集より《花に送られる》今野大力詩集より土肥泰《夏のうぐいす》 《けもの道》《五月のうた》


【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】





CD「山内正の純音楽」


作曲家 山内 正 研究活動




このページの先頭へ

inserted by FC2 system