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ompany【 作曲家 池野 成 考 】



祖父と池野さん達のこと



吉澤 博寿 インタビュー



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 祖父は昭和59年の秋頃から急に食べられなくなりましてね、昭和60年の5月に入院したんです。それでも5月中はまだ医者の許可を得て竹内さんのマンドリン・アンサンブルの練習に行ってたんですよ。ところが6月になるとやっぱり具合が悪くなってきて、練習に伺うことができなくなりましたね。

 それで結局、祖父は昭和60年の9月8日に食道癌で亡くなりました。77歳でした。その時私は14歳でしたね。

 祖父の一周忌には偲ぶ会というのをやりまして、その時には黛さんや直純さんの皆さんが来てくださいました。おそらく池野さんもその時お見えになっていたんだと思います。
 また、祖父の七回忌の時には、私がクリスチャンということもあって教会で祖父を偲ぶ小さな演奏会を行ったのですが、実はその時に私がファゴットを吹いて、松村禎三さんにピアノ伴奏をしていただいて、小曲なんですけどミルデという作曲家の「ファゴットソナタ」を演奏したこともありました。


 私が子どもの頃、学校で嫌な目に会って、弱音を吐いたことが有ったんですが、そしたら祖父に「お前はピアノを弾くという限られた人しか出来ないことが出来るんだからもっと自信を持ちなさい」と肩を叩いて言ってくれた事が有るんです。そのことが本当に嬉しくて私にとっては忘れられない思い出なんですね。
 その後、音楽の先生に勧められてピアノからファゴットに変わりましたが、今でも施設などに伺って演奏すると本当に喜んでいただいているので、結果的にファゴットに変わってやっぱり良かったなと思っています。
 
 ただ、祖父に私がファゴットを吹いている姿を見せられなかったというのが今でもちょっと残念ですね。






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「作曲家 池野 成 考」


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