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上田英治 インタビュー  pany



 
2014年10月19日(日)13:30~(於:dues新宿)「片山杜秀×出口寛泰 トークショー」において、

池野成 作曲 Solea-Malagueña(舞台初演)

小杉太一郎 作曲 双輪【ギター二重奏版】(東京初演)

を演奏してくださるデュオ・ウエダの上田英治さんに今回の演奏曲についてお話を伺いました。



【CD「小杉太一郎の純音楽」報道記事】


上田英治さん
池野 成 作曲《Solea-Malagueña》を演奏する上田英治さん。

上田英治 氏 略歴




―――池野成 作曲《Solea-Malagueña》の印象はいかがですか。


 「Malagueña」というのはフラメンコ音楽のひとつで、スペイン南部のマラガ地方の舞曲のことなんですね。

 今回の池野先生の作品には速度記号が書かれていないんですけど、演奏する方としては、この楽譜だけを見て曲として仕上げようとすると、けっこう激しく弾きたくなるんですよ。

 でも、映画では老船長役の左卜全が滔々と初恋物語を語る場面で、どこか物悲しさを感じさせるぐらいゆっくりとしたテンポで演奏されている。
 その結果、スペインやフラメンコとはまったく関係の無いシーンなんですけど、音楽が不思議とあのうらびれた雰囲気にすごく合ってますよね。

 だから、曲想としてはどちらかといえば激しいものを、あえてゆっくり静かに演奏させることで、朴訥とした感じを出そう、という狙いがあったのかなあと感じました。



―――曲の内容はいかがでしょう。


 最初、アルペジオみたいにはじまるんですけど、途中から出てくる旋律の節回しがイサーク・アルベニスの《入り江のざわめき》を彷彿とさせます。

 ですけどこれは、アルベニスの真似というより、フラメンコや「Malagueña」は、よく使われるスタイルやパターンがもうだいたい決まっていますから、それを意識して作曲すると、どうしても似通ってしまうということはあると思いますね。



―――池野先生というと、楽器的にどうしてもトロンボーンというイメージが強いのですが、今回はギター・ソロの曲ということで、お感じになったことはありますか。


 まず驚いたのが、楽譜の体裁がものすごく整っているんですね。クラシック・ギターの楽譜としての約束事がきっちり守られていて、まったく破綻無く書かれています。
 フレーズの書き分けであるとか、弦の上で指をすべらせる「ポルタメント」という奏法が出てくるところを見ても、ギターを知らない人が書いた譜面ではないですね。

 実際に演奏してみると、書いてある音の数はけっして多くないんですけど、ギターがよく響くんですよ。

 池野先生はギターのこともよく御存じなんだなあと今さらながら感じました。


 あと、今回一緒に演奏する小杉太一郎先生の《双輪》は、もともと箏の曲なので、ギターで演奏するために移調したんですけど、その他は、まったく音を変更していないんですよ。

 それで演奏してみると驚くほどギターにぴったりなんですよね。指的にも無理なく弾けて、しかも演奏効果が高い。

 「ギターのために書かれたんじゃないかなあ?」と思うぐらいで、これは本当に不思議ですね。




CD「池野成の映画音楽 牡丹燈籠 妖怪大戦争」情報

池野成 没後10年 Salida企画

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