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池野成 作曲

《RAPSODIA CONCERTANTE》

改訂譜を確認


《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜確認(1)


 この度、中央大学高等学校教諭 仲森友英さん所有の池野成 作曲《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜を確認させていただきました。


《RAPSODIA CONCERTANTE》の改訂


 2004年、スペインから帰国してしばらく経ったある日、池野成先生は《RAPSODIA CONCERTANTE》スコアに青インクの万年筆でなにやら書き込みをしていました。

 実は当時、あるレコードレーベルから《RAPSODIA CONCERTANTE》のレコーディング企画が持ち上がっていました。池野先生は
「初演の時にヴァイオリニストの方が指摘してくださったり、後になってちょっと変えた方が良いと思ったところがいくつかあるんですよね」
 と、その箇所に改訂を加えながらスコアを準備されていたのでした。

 レコーディング企画には音楽評論家 片山杜秀さんが関わっており、また夫人の声楽家 藍川由美さんからは池野先生へ新作の委嘱が行われていた(池野先生の体調不良により完成に至らず)という経緯もあり、そのスコアは片山さんご夫妻のもとへ送られました。

 その頃、池野先生のお宅に住み込んでいた私は、
「ちょっと出て来ます」
 と、楽譜を抱えた池野先生が近くの郵便局へ向かう姿を今でもよく覚えています。

 スコアは片山さんを経由してレコードレーベル会社へ送られましたが、結局、企画は実現に至りませんでした。
 今思えば《RAPSODIA CONCERTANTE》の改訂箇所を詳しく確認しなかったことが返す返すも悔やまれます。

 しかし―――。


仲森友英さんからの連絡


 2014年、私は仲森友英さんより《RAPSODIA CONCERTANTE》の改訂に関する連絡をいただきました。まったく思いがけないことでした。

 仲森さんは、日本人作曲家作品を含め幅広く音楽を愛好されており、生前池野先生とも大変親交が深かった方です。 

 仲森さんによれば、まだ池野先生がスペインへ移住されていない2001年に《RAPSODIA CONCERTANTE》スコアのコピーをお願いしたところ、池野先生は出来上がったコピー楽譜の数箇所を改訂されたとのことです。そこでのお話は、録音の際、どうしても色彩感が足りないと思った部分があることや、ソリストに対して自分の思い通りに引いてもらうためには譜面を変えなければならないという内容だったとのことです。

《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜確認(2)


 仲森さんはその楽譜を現在まで大切に保管され、2014年5月にオーケストラ・ニッポニカ演奏会で《RAPSODIA CONCERTANTE》が取り上げられたことを契機に、池野先生の思いを実現するためにも改訂箇所の存在を私に伝えようと思い立ち、連絡をくださったとのことでした。

《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜確認(3)


 改訂譜の確認には片山杜秀さんも立ち会ってくださいました。

《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜確認(4) 


「スラー」の追加やトランペットに1オクターブ上げて演奏するよう指示を加えるなどの改訂が数箇所に行われていました。

《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂譜確認(5)


 2001年の改訂箇所は2004年に行われた加筆部分と同様と考えられますが、Salidaでは引き続き検証を重ねていく所存です。



池野成 作曲《RAPSODIA CONCERTANTE》改訂内容確定

池野成 研究活動



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