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祖父のことに関してですと、祖父にはやっぱり音楽の素晴らしさというものを教えてもらいました。
小さい時にレコードを聴く時の針の乗せ方から教えてくれて、たくさんクラシック音楽を聴く機会を作ってくれたんですね。
あと例えば、祖父が亡くなる昭和60年には、今年はバッハ、ヘンデル、スカルラッティという3人の作曲家の生誕300年の年なんだよ、というふうに折に触れて音楽に関するいろんな話をしてくれました。
この音楽の素晴らしさに加えて、プロ野球の楽しさ、それから食べることの楽しさ、グルメ・食道楽ですね。この3つを私は祖父に教わりましたね。
祖父はプロ野球が大好きなんですよ。野球観戦なんかも好きで、後楽園球場とか神宮球場とかに一緒に連れて行ってもらったこともありましたね。
祖父は特に応援している好きなチームがあるというのではなくて、強くないチームが好きなんですね(笑)。ただもうほんとにその時々の強いチームが負ければいいという感じでした。
あと祖父と仲の良かった原田甫さんも好きなチームというのが特に無かったんですけど、野球にとても詳しくて原田さんともよく野球の話をしていました。
あと食道楽ですと、祖父が元気な頃には仕事終わりにカレーを食べて、その後とんかつを食べに行くという勢いだったんですけど、晩年はよく蕎麦屋に行ってたんですね。
祖父はスタジオの仕事と併せてマンドリン奏者の竹内郁子さんが主宰されている「東京マンドリン・アンサンブル」の指揮をしていたんです。マンドリン・アンサンブルには作曲家
たかしまあきひこさんの奥さんである田中早苗さんも参加されていましたね。
毎月第3週以外の日曜日がマンドリンの練習日で、その練習に行く前に東京荻窪の川南というところに「籔伊豆」という旨い蕎麦屋が有るんですが、そこで蕎麦をよく食べてました。それで食べ終わってから竹内さんのところへ行って14時から17時の間、練習に立ちあうんですね。私も小さかったので一緒に付いて行ってそれは楽しかったですよ。
あともう一軒、東京の目黒に「一茶庵」という手打ち蕎麦屋があって、ここには原田甫さんと3人でよく行きましたね。原田さんとは一緒に蕎麦を食べに行ったことと、あと私が受験の時に色々作文をみてくれたという思い出がありますね(笑)。
吉澤 博寿 インタビュー (1)/(2)/(3)/(4)
「作曲家 池野 成 考」